先っぽが欠けた、簪《かんざし》……。
私には、欠けた先に生まれた光が見えていた。
【悠基】「(……いいんだよね?)」
自分の魂を傷つけて、隙間を作る。
零れ落ちた魂と関わりを持つために。
【男】「な、なんだっ? 何をする気だ、お前……」
【御代】「悠基! ダメだっ!」
御代くんはいつも頑張ってる。
ぶっきらぼうで、突き放すような言い方しかしないくせに。
本当は凄く優しくて……。
私を守ろうとこちらに走ってこようとして、また、転んじゃった。
【悠基】「(私、守られたくないの……)」
私が守ってあげるって決めたんだから。
【悠基】「すぅ……ッ」
大丈夫、怖くない。
【御代】「やめ……」
【悠基】「う……っ」
あ、あれ?
【悠基】「……………!!」
【悠基】「あああああああああぁぁあぁぁぁァァァァァァ!!」
【悠基】「あ、ああぁ、あ………ッ!」
……寒い。
何かが胸に吹き込んで……。
【御代】「悠基、悠基!」
【子供】「…………おとーさん」
………何?
誰が私を呼んでるの……?